舞台作品と映像作品の違い? 豊岡演劇祭2024に参加して感じたこと。
前回のブログ記事と比較すると、ライトな内容になっています。笑
2024年9月15日(日)、兵庫県の北部にある豊岡市で開催されていた豊岡演劇祭に行ってきました。(HPめちゃいい感じです)元々、私は兵庫県出身なので豊岡という地名はもちろん知っていたのですが、妻が短期間ながら住んでいたこともあり非常に親近感のある場所で、豊岡演劇祭の存在もずっと気になっていました。
現在長編映画製作の準備をしているところなので、芸の肥やしになればと思い観劇をしてきました。
今回はそのときの感動と分析を文章にしていきます!
観る寄る巡る。
豊岡演劇祭には地域おこし協力隊も数多くかかわっており、まさに「街をあげて」という言葉が似合います。以下、公式HPより抜粋。
豊岡演劇祭は、劇場だけではなく温泉街、海岸、高原、神社の境内に設けられた木造の農村舞台など、まちのいたるところが舞台になるのが大きな特徴です。山陰海岸ジオパークとも重なる土地の魅力を存分に引き出すとともに、全国の舞台芸術ファンの期待に応えるプログラムに、国際共同企画、若手カンパニーやストリートパフォーマンスなども合わせると国内外から約70の団体がこの地に集まることになります。
たくさんの観劇の機会が生まれるのはもちろん、ふと気になる場所に立ち寄ったり、表情の異なるエリアをゆっくりと巡ってみたりするうちに、各地のおいしいご飯、名湯、雄大な景観にも出会うことになるでしょう。5年目を迎える今年のテーマは、“観る寄る巡る。”。
毎年恒例となったフェスティバルナイトマーケットなど、演劇祭に合わせて開催する様々なイベントとともにみなさまをお待ちしています。
今回は、時間的な制約もあり、以下2つの舞台を観劇してきました。
①読売テレビプロデュース『ムーンライト・セレナーデを聴きながら』@出石 永楽館
②青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演 @ 江原河畔劇場
次回は、富山県利賀村芸術公園 / SCOTサマー・シーズンにぜひ行ってみようと思います!
舞台作品の特徴だと感じたこと。
演出論やら舞台論などをまるでかじっていない、あくまで映像屋がどう感じたかの羅列です。
言葉にするとやや淡白に見えますが、私にとっては大きな刺激でした。
- 同じセットであったとしても、ライトの色で時代の変化を演出する。
- 登場人物が少ない台詞でもキャラクター像が掴めるようになっている。(役割語がとても強調されている!)
- ノンストップで進行していくエネルギーと臨場感が改めてすごいと感じた。
- 衣装がキャラクター設定に大きく、大きく貢献している。
- 舞台装置を広くつかい、奥行きを感じさせる演出が多くて面白い。
- 客席から演者の目元や手元、細部に寄れないので、ずっとヒキの画を見ている感が強く俯瞰的。
- それであるがゆえにフレーム外を想像させる、という解釈の余白をあまり感じなかった。
- 舞台上の人間の所作がすべて目に入るので、何も話していない人の動きにほど目が行ってしまう。
(映像ではよほどのことでない限り7-8人が画角に収まり続けることは少ないので…)
加えて、舞台が持つ「ステージ」が果たす役割が非常に大きいことを実感しました。
演者は客席からの視線に向かってどうしても演じることになります(じゃないと本当に声が聞こえない。)し、映像撮影でいうイマジナリーラインがハッキリと存在している感じがしました。舞台の背後から演者越しに客席にカメラを向けることは、予告編ではあるかもしれませんが、本番はライブであるがゆえに意識が二方向(客席⇔ステージ)に限定される感じがありましたが、その分会場の一体感は素晴らしく、最高のエンタメだなと率直に感じました。
こんな感じで挙げ始めればキリがないんですが、本当に素晴らしい経験でした!
過去に舞台を撮影させて頂いた経験はありますが、定点撮影であっても集中して演劇内容を見る余裕がなかった…というのが正直なところで、ここまでじっくりとかつ冷静に観ることができ、とても幸せでした。
映像作品に活かしたいこと。
映画作品であったとしても、ミュージカル要素や舞台要素が入り込んでいる作品は世の中に数多くありますが、今後こういうことを意識していこうかなと思うことがあったので、備忘録がてら記録しておこうと思います。
- 撮影場所を舞台として捉え、ライティングを組む前に視線が向く場所の理由を考える。
- 狭い部屋であっても、手前から奥へ/奥から手前へ、X-Y-Z軸でいう「奥行のZ」を表現として取り入れる。
- 撮影場所が狭かったとしても、画角に映り込む人数とアングルを調整して、関係性がよく伝わる画作りに。
- 映画を見てくれる人の呼吸のスピードを尊重して、カメラワークでの動・静を意識する。
- 演者の視線で不穏、安堵、葛藤などの繊細な感情を表現していくことにチャレンジしていきたい。
映像ディレクター、映像カメラマンとしてクライアントの方々の前に立つ機会がほとんどなので、何かインプットをしようと思うと、つい「映画」・「本(小説や演出、脚本など)」・「機材」の脈絡で物事を考えてしまいがちですが、今回のような舞台やミュージカルなど枠を広げれば、世の中はいろんな<表現>であふれているので、あまり狭めずに積極的に足を運ばねば…と思いました。
この演劇祭に行ったあとに、長編映画に向けてのキャスティングでたくさんの俳優部の方々とお会いする機会があったのですが、直近の出来事ということもあり、この演劇祭のことつい嬉しくなってベラベラ話してしまいました笑
次回は、直近で制作した短編映画について触れてみようかと思います!